■椎間板ヘルニアの治療 @保存療法

自然に消滅することもあるので、3ヶ月間は保存療法を行なう

「椎間板ヘルニア」に対しては、まず3ヶ月程度を目安に、手術をせずに痛みや症状を抑える 「保存療法」を行なうのが一般的で、保存療法では、姿勢や運動などの生活改善に加えて、 主に、痛みをコントロールする治療が行われます。 椎間板ヘルニアの中には、3〜6ヶ月ほどすると飛び出した髄核が自然に吸収され、 いずれ消滅してしまうものもあります。保存療法にはその経過を観察する目的もあります。 ただし、椎間板ヘルニアのすべてが自然消滅するわけではありません。 穿破脱出型や遊離脱出型では自然消滅の可能性は比較的高いのですが、膨隆・突出型や脱出型では、可能性が低くなります。


●薬物療法

一般的に、「非ステロイド性消炎鎮痛薬」を用いて、痛みを緩和させます。「内服薬」「湿布薬」「座薬」などがあるので、 ライフスタイルや症状に合わせて選択します。 筋肉が緊張していることで痛みが起こっているようなら、「筋弛緩薬」を使って、筋肉をリラックスさせます。

●神経ブロック

薬物療法だけではコントロールできないような強い痛みがある場合は、 「局所麻酔薬」「ステロイド薬」を注射する 「神経ブロック」を行なって痛みを抑えます。主に次の2つの方法があります。

▼硬膜外ブロック
お尻のすぐ上当たりの皮膚に針を刺し、「仙骨裂孔」という孔を通して、 脊髄を包む硬膜の外側の「硬膜外腔」に注射します。
▼神経根ブロック
飛び出した髄核に圧迫されて炎症の起きている「神経根(神経の根元部分)」に、直接薬を注射します。

■椎間板ヘルニアの治療 A手術

神経への圧迫を取るために、椎間板の一部を取り除く

「保存療法では十分な効果を得られない」「症状が強くてつらい」「症状を早くとりたい」 といった場合は、手術が検討されます。 また、神経の障害により排尿障害や排便障害が起こると、後遺症となって残る場合があるので、 緊急に手術を行なう必要があります。 手術の方法には次の2つがあります。

▼経皮的髄核摘出術
背中側の皮膚を4mm程度切開して手術器具を椎間板に挿入し、髄核の一部を取り除きます。 局所麻酔で行なわれ、傷も小さいので、取り除くのが1ヶ所ならば手術時間は30分程度で、 手術後すぐに歩くことができる場合もあり、入院も手術後1日〜1週間程度で済みます。 髄核の量が減って神経への圧迫が減り、痛みが軽減します。 対象は膨隆・突出型と脱出型など髄核が靭帯を突き破っていないタイプのみです。

▼後方椎間板切除術
背中側から切開して、飛び出した髄核を切除する手術で、どのタイプの椎間板ヘルニアにも行なえます。 「直視下手術」「顕微鏡下手術」「内視鏡下手術」の3つに大別されますが、 最もよく行なわれているのは、直視下手術です。 全身麻酔をして、背中側の皮膚を12〜13cm程切開してから、実際に患部を見ながら行ないます。 一般に、手術時間は1時間程度で、入院期間は2〜3週間です。 顕微鏡下手術は、直視下手術と同様に背中側を切開し、患部を顕微鏡で観察しながら行ないます。 内視鏡下手術は、最近行なわれるようになった新しい手術です。背中側を1.6cm程切開して、 脊柱の隙間から内視鏡と手術器具を入れて行なうもので、内視鏡のカメラが映し出す映像を モニターで見ながら行ないます。手術時間は約1〜2時間で、全身麻酔をして行なわれますが、 傷が比較的小さくて済むうえ、手術後の痛みが少なく、手術の翌日には自分で歩いてトイレに行くことができる人もいます。 一般に、入院は3〜4日です。 内視鏡下手術は、高い技術を要するため、日本整形外科学会が認定する脊椎内視鏡下手術の 技術認定医は全国に30〜40人程度(2007年)と、受けることができる医療機関がまだ少ないのが現状です。 ただし、患者への体の負担も少ないため、今後広まっていくと考えられます。